第一部7巻
Part32「ラブ・チャイルド」
麦が二度目の共通一次を受けた日、邦雄と牧子の訪問を受ける。二人は子供を授かっていて、はるかと名付けていた。麦の父記(しるす)は、家政婦の冴子との結婚を本格的に考えていたが、冴子の娘風子にはそのことを伝えられずにいた。麦は風子に伝えることを引き受け喫茶店で話すが、風子は既に気付いているようだった。そこで麦は幸子とその彼氏に出会う。麦は、幸子が幸せそうだったことに安心する。民夫は共通一次には来ていなかったが、同棲している彼女の母親が危篤だったせいだった。ある日、いつも明るい風子が淋しそうな表情をしていた。後日理由を聞くと、転入手続きの為に戸籍を見たら父親の名前が無く、自分は私生児だと感じたせいだった。私生児という文字をノートに書いたら、自分で生まれてくる子のようで悲しくなったと言う。麦は、私生児は英語で「ラブ・チャイルド」と言うと話し、風子を励ます。
Part33「夕づるの舞う日」
麦の札幌での二次試験には、岩崎と梅室もついて来た。同じ頃、バクスターは東京へ向かっていた。麦は今年は無事受験を終えることが出来た。入試の終った麦は岩崎と公道ラリーに出場したりして、合格発表まで岩崎・梅室と遊び回って過ごす。一方の岩崎と梅室は留年していた。麦は合格発表を北海道まで見に行くことしていた。発表当日、合格していることを知った麦は、家に電話をかけるが、間違えてやよいの家にかけてしまう。指先が彼女の家の電話番号を覚えていたのだ。
Part34「春は弥生」
北大の入試に合格した麦の帰宅を、父や、新しく母になる冴子、妹になる風子、友達の岩崎、梅室は暖かく向かえ、麦の家でドミノ倒しを初めとする祝賀会を催す。(麦の飼い猫、涙はドミノを倒すというので二日間監禁状態だった)岩崎や梅室は毎日のように出入りした。麦は北大に行った時の為に、風子に父や母のことを頼んでおかなければならない、と考える。そんな日が続く中、麦は、やよいに会った。やよいは以前と違って眼鏡を外し髪型を変えていた。その次にやよいに会った日、麦はいつになく強い口調で「おれとつきあえ」と告げる。「ずっと今まで愛し続けていたような気がする」とも。やよいも「ずっと待っていたような気がする」と話した。
Part35「風よ再び」
記と冴子との結婚式は、出席者が仮装をする、という珍しい演出で執り行われた。新婚旅行に向かう二人。冴子の娘風子から「パパ」と呼ばれた記は静かに涙した。一方東京に来ていた、麦の取り上げた馬バクスターが中山の皐月賞トライアルに出る。麦は風子とやよいを連れてレースを観戦に行き、バクスターは見事優勝する。父たちが新婚旅行中は毎日のように岩崎や梅室がやって来て、新しい妹としての風子との会話はあまり交わせなかったが、特に芝居がかった会話など必要ないとも麦は思った。父たちは新婚旅行から帰って来た。お土産を沢山持って。
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